はじめてのリードナーチャリング〜基礎からはじめる⑤ステップ〜
2016/04/07
目次
リードナーチャリングについて
リードナーチャリングとは、見込み客(lead:リード)を育成(nurturing:ナーチャリング)して受注に結びつけるプロセスの管理手法のことです。対象とする見込み客は、直ぐに購入しようと思っている今すぐ客ではなく、ちょっと興味・関心を持っていたり、情報収集段階のそのうち客です。
一般的にBtoBの商材は、商品単価が高く購買の意思決定までに時間がかかるので、見込み客を受注にまで導くには、中長期的な関係作りが重要となります。このプロセスを「見える化」して効果的に進める手法がリードナーチャリングです。コンタクトから受注までを複数の段階に分け、それぞれの段階において決められたコミュニケーションを行って、徐々に購入意欲を高めていきます。
BtoB企業でマーケティング活動を行っている場合、「見込み客を集めること(リードジェネレーション)」に注力しがちで、集客からの購買プロセスが疎かになっていることがあります。
例えば、展示会で【予算】【時間】【人】などを使い見込み客を集めたにも関わらず、すぐに商談や受注に繋がらない見込み客に対しては、一度お礼メールを送るだけで翌年の同じ展示会まで何の接点も無いなど、将来的に重要な顧客になる可能性のある多くの見込み客を放置してしまっているケースは非常に多いのが現状です。
実際に自社で行っているマーケティングでもお客様にアプローチをしてすぐ商談になる率は5%〜10%程度です。
こうした状況を変えていく為に、「リードナーチャリング」が必要です。
BtoB企業が取り組んでいくための方法について紹介していきます。
マーケティング担当者への調査
まずは"リードナーチャリング"というキーワードについて
マーケティング担当者の約5割がよく知らないと回答
と回答された方は全体の3割弱
リードナーチャリングに対する注目度の高さがうかがえます。
8割がリードナーチャリングの効果に満足
「満足している」(34.4%)・「まあ満足している」(45.1%)との合計が約8割に達しています。
多くのマーケティング担当者がリードナーチャリング実施による効果に満足していることが分かります。
リードナーチャリングの効果を実感した時は?
リードナーチャリングを実施することで得られる効果として、どのようなものがあるのでしょうか。「『たった今探してたんです』的な話になった」「タイミングよく広告メールを受け取ることにより、顧客の反応が向上した」「唐突なテレマーケティングすることなく、段階的に少しずつ購買へひきつけることができたお客様が出てきました」など、適切なタイミングで見込み客に接触できたことを挙げられる方がいらっしゃいました。さらに、「売り上げが上がった」「リピーターが増えた」など、売り上げの向上を実感されている方も多くいらっしゃいました。
基礎からはじめる⑤ステップ【リードナーチャリング】
それではどうやってリードナーチャリングをはじめたらいいのでしょうか?
今回は⑤つのステップに分けて紹介していきます。
step①:見込み顧客のターゲットセグメントを決める
マーケティング活動において、共通して言えることですがマーケティングとは、自社の狙うべきターゲットを絞り込み、商談に繋げるための手段であり活動だと思っています。
効果的にリードナーチャリングを実施するためには、どのような状態の見込み客がリードナーチャリングの対象者なのか、どのタイミングで営業部門に引き渡すのかを定義し、顧客化するまでの流れを絞り込んでいく必要が有ります。
step②:リード(見込客)情報を統合する
見込み客情報の整理を行います。重複している見込み客の情報をまとめたり、不必要な情報を削除したり、企業や役職などの属性情報をどのような項目のもとで管理するのかをルール化します。きちんと整理されたデータベースはマーケティングにおいて企業の資産となります。
step③:興味度合いを引き上げる
見込客情報を統合が完了したら、相手を飽きさせないように継続的に接点を生み出すことが必要です。
効果的なのが、コンテンツです。見込み客との接点となるコンテンツを継続的に配信することで、見込み客の関心を高めたり、信頼感を増し案件の確度を高めていくことができます。
●エンゲージする(興味を高める)
見込み客全体に対して中長期的に接点を持ち、関係性を醸成するためのアプローチ。定期的なメール配信をはじめ、長く続けることで効果が生まれる手法
●ドリップする(絞り込む)
見込み客をふるいにかけ、期待度の高い相手だけに絞り込んで、アプローチをかけるもの。キャンペーンなど一定の期間を決めて、短期で成果を狙う場合に向いている手法
この2つの接点を組み合わせてリードナーチャリングの流れを設計していく。例えば、一年を通してエンゲージ型のアプローチを実施しながら、ある基準を満たした見込み客に対しドリップ型のアプローチを仕掛けて絞り込むなど、いろいろな可能性が考えられます。
step④:見込客の行動を把握する
見込客の行動を把握し、購買のタイミングをしっかりと見極めます。
製品を購買するまでの流れは、企業によってそれぞれ違います。オンライン・オフラインをまたいで接点がより複雑になっているため、見込客ごとの行動管理が難しくなっているのが現状です。
今までのような施策ごとのExcel管理では、複雑化・長期化する見込み客の行動を追い切れない。
そこで今注目されているのが、見込み客との接点管理を自動化し、その行動を見える化できるツールが「マーケティングオートメーション」です。
step⑤:スコアリングで確度を見極める
見込み客の行動を管理し、把握すると同時に、案件発生のタイミングを見極めて営業に繋ぐ必要があるのですが、指標として重要な役目を果たすのがスコアリングです。
例えばメルマガを一回読んだら3ポイント、WEBでセミナーページを閲覧したら10ポイント、セミナーに参加したら50ポイントというように、接点に対してスコアを設定します。
マーケティングオートメーションを活用すれば、スコアが一定の値を超えた場合、自動でアラートしたり、スムーズに営業に引き継ぐことが可能になります。
まとめ
これまで、多くのBtoB企業がリソースの不足や有効なツールを持たないがために、将来有望な顧客となり得る見込み客を活かすことができずにいたケースもあったと思います。
しかし一度取引が始まると長期的な関係に発展していくことも多いBtoB企業の場合、一人の見込客が大きな価値を持っています。
リードナーチャリングを正しく実践し、企業にとって重要な資産である見込客を、最大限に活かしていくことが重要な事です。
私は自社での運用も行っていますが、営業側で見込度があまり高くないお客様を発掘する事で多くの案件を生み出せると確信しています。